更生保護施設の概要

生保護施設とは、更生保護事業法に基づいて運営される民間の施設です。刑務所をはじめとした矯正施設を出所した人や保護観察中の人などのうち、現在住むところがなかったり頼れる人がいなかったり、あるいは現在の環境では自立更生することが難しい人に対して、一定のあいだ宿泊場所や食事を提供し、就労や福祉サービスの利用といった自立に向けた支援を行っています。原則的に保護観察所からの委託に基づいて受け入れを行っており、主に国からの委託費によって運営を行っています。

これまで、更生保護施設は犯罪や非行をした人の経済的な自立を支援するという側面が強く、基本的に費用負担のない更生保護施設で就労貯蓄を行い、退所を目指すというのがスタンダードでした。現在でもこうした側面は存在しますが、昨今では社会情勢の変化に伴い、高齢の方や障がいを抱える方、依存症からの回復を目指す方といった生きづらさを抱えた人が増えてきました。そこで、更生保護施設においても専門的なプログラムを実施するなどして処遇を強化し、また、社会福祉士や精神保健福祉士といった福祉職員を採用することで福祉との連携を深め、犯罪や非行のない明るい社会づくりに寄与できるよう取り組んでいます。

保護の対象となる人たち

生保護施設の入所者には、たとえば以下のような人たちがいます。なお、どのような人を受け入れているのかについては、施設によって異なります。

①保護観察を受けている人たち
・刑事施設から仮釈放になった人
・刑の執行を猶予され保護観察に付された人
・少年院から仮退院になった人
・家庭裁判所で保護観察処分を受けた人 など

②更生緊急保護を受けている人たち
・刑事施設を満期出所した人(すでに満期を迎えた人)
・刑の執行猶予を受けた人(いわゆる単純猶予の人)
・起訴猶予処分となり身体拘束を解かれた人
・罰金刑の言い渡しを受けた人 など

更生緊急保護とは

仮釈放になった人や保護観察付執行猶予を受けた人は必ず保護観察に付されるため、必要な指導や支援を受けながら社会復帰を目指していくことになります。一方で、満期釈放になった人や起訴猶予処分を受けた人などについては保護観察が付されることはないため、良くも悪くも刑事司法上は自由の身となります。しかし、頼れる人がいなかったり公的サービスが今すぐに受けられない人からすると「突然放り出される」ような状況となり、生活を建て直すことが困難な場合があります。そういったときに、保護観察所に申し出ることで援助を受けることができるのが更生緊急保護という制度です。更生緊急保護の内容は多岐にわたりますが、たとえば、宿泊場所の供与や食事の給与、就業又は生活援助のための金品の給与・貸与、就労援助などがあります。なお、更生緊急保護によって更生保護施設で生活することのできる期間は、原則的に身体拘束を解かれてから6か月間です(改善更生を保護するため特に必要があると認められるときには最大でさらに6か月間の延長が可能です)。

更生保護施設での生活

生保護施設での生活は、施設によって多種多様です。原則的に共通していることして、
・宿泊場所の供与があること(費用がかからないこと)
・一定期間食事の給与があること(保護観察所の委託による)
・就労や福祉サービスについての助言や援助を受けられること
・門限やアルコールの禁止といった規則があること
 などがあります。
そのなかで、就労貯蓄を行ったり福祉サービスの利用を進めるなどして、更生保護施設の退所と自立を目指します。

なお、更生保護施設の在籍可能期間は、保護観察期間中または更生緊急保護を申請した場合で刑事上の手続等による身体の拘束を解かれたあと6カ月を超えない期間中までとなります。つまり多くの場合、仮釈放や起訴猶予等によって身体拘束を解かれてから、6か月が経つまでの間に就労貯蓄を行って退所先を見つけたり、福祉サービスを調整して福祉施設への入所を調整したりする必要があります。

当施設での生活については、施設紹介にてご紹介しておりますので、よろしければご覧ください。